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書物のリレーエッセイ(第6回)

「秋は読書の季節」 / 川崎 直哉 (附属図書館長)
()内の肩書・所属は掲載当時のものです

夏の暑さも終わり,本格的な秋になってきました。いよいよ後期の授業も始まり,学生の皆さんは新たな気持ちでエンジンを始動させていることと思います。最上級生は卒論・修論の仕上げ(まだ仕上げの段階ではないかもしれませんが)で目の色が変わってくる頃かと思いますが,それ以外の皆さんは,せっかくの秋ですので少し読書に親しんでみませんか。日本では,「食欲の秋」とか「スポーツの秋」などと一緒に「読書の秋」ということも言われます。夏の暑さの反動もあるかもしれませんが,秋,特に秋の静かな夜にじっくりと読書をするのも良いものです。読書は心を豊かにすると言われますが,文字を読んでいろいろ思いを巡らすことによって脳も活性化することが,先日読んだ新聞に載っておりました。皆さんは普段から大学での学習や研究によって脳の活性化を図っていることから,今更と言われるかもしれませんが,読書には独特の脳の働きがあるようです。

文字を読むことによる視覚の働き,文字の意味を理解して自分の記憶等と比較しながら思いを巡らすことによる理解や記憶,発想などの脳の働き,さらには感動などの高度な感情の変化による脳の活発化など,読書は脳にとって大きな意味があることが知られているようです。普段は教科書や専門書を目にしていることと思いますが,それとは別に自分が普段から気になっていた小説や興味のある趣味の本,場合によっては漫画でも良いではありませんか。目で文字を追って,内容を理解し,感動する,そのような書物に目を向けて下さい(教科書や専門書で感動することは少ないですよね)。

私自身は理工系の人間ですので,どうしても科学的な話やものづくりの話に興味を持つことが多く,「ものづくり解体新書(日刊工業新聞社)」シリーズや「宇宙の渚(NHK)」,数学に関する読み物として(分からなくとも)「世にも美しい数学入門(ちくまプリマー新書)」や「数学・まだこんなことがわからない(ブルーバックス)」などが記憶に残っています。また,元素周期表にある元素に関する逸話を集めた「元素をめぐる美と驚き(早川書房)」なども読み応えがあるものでした。気楽に読める本からどっしり構えて熟読する本まで,どれも読書という面からは同じかと思います。大学の学習・研究とは違う読書によって充実した時間を過ごされることを願っています。(2013.10.1)


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